カイロまで―日記より―

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12/6/13
書籍「社労士が見つけた!(本当は怖い)採用・労働契約の失敗事例55」6/13発売しました。
12/3/28
書籍「社労士が見つけた(本当は怖い)解雇・退職・休職実務の失敗事例55」3/28発売しました。
11/12/21
書籍「税理士が見つけた!(本当は怖い)事業承継の失敗事例33」12/21発売しました。
11/11/2
書籍「税理士が見つけた!(本当は怖い)飲食業経理の失敗事例55」11/2発売しました。
11/5/11
書籍「公認会計士が見つけた!(本当は怖い)グループ法人税務の失敗事例55」発売しました。

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ヨーロッパの旅

著:勅使河原蒼風
1900年生まれ。華道草月流の創始者。  1928年、第1回草月流展を開催し、軽快でモダンな花が評判となり、NHKラジオのいけばな講座を担当、この放送や以後の草月展を通じて草月流いけばなが広く知られるようになる。  華道において斬新な手法を多く提供し「花のピカソ」と呼ばれた。

ヨーロッパの旅

土産話

セーヌ

 セーヌ川を遊覧ボート(といっても小さい汽船みたいである)で下ってみないかと人にさそわれた。
 むろん下りっぱなしでないから上下ということになるが、少し寒い曇り日で水上をたのしむという日ではないが出かけたわけだ。
 五六十人の人が乗りこんで両岸のながめをたのしみながら小一時間で一回の終りとなった。  セーヌ河はパリの真中を流れているせいかなんとなく魅力のある河で、人間の思いがたまりにたまって流れているとか、その流れに人の悲しみも苦しみも、喜びも詩も歌も古い昔からたたえられて、河自身がパリの主のようなものだといったような話や文を知っているせいかやっぱりそんなものにおもえてくる。
 両国の川みたいなものでないことはたしかで、けっしてなまやさしい一寸した河ではないのだが、けっきょくこっちの見方や思い方でどうにでもなるわけだろう。
 両岸の風景が堂々としていて、隅田川の舟遊びみたいに奥行のとぼしい粋な感じなどとはまるで違っている。
 橋がみんなすごく大げさで、どっしりしていてやたらに立派な彫刻がくっつけてあるし、岸の並木がまた実に大きな形のゆたかな木でそろっている。
 ところどころに家族のような組や恋人同士のような組が適当に点景となって、犬が歩いていたり子供が遊んでいたり、岸の広場が公園のような効果をもっている。
 船の中でも恋人同士は沢山いるから、その人達をぬすみ見ていてもあきないわけで、あまり入念に抱き合ったりキスしたりしている組は多少目ざわりだが、これもまた日本の場合には見ることの出来ない本格的な人間昧であろう。
 ところどころに家族のような組や恋人同士のような組が適当に点景となって、犬が歩いていたり子供が遊んでいたり、岸の広場が公園のような効果をもっている。
 船の中でも恋人同士は沢山いるから、その人達をぬすみ見ていてもあきないわけで、あまり入念に抱き合ったりキスしたりしている組は多少目ざわりだが、これもまた日本の場合には見ることの出来ない本格的な人間昧であろう。