カイロまで―日記より―
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ヨーロッパの旅
著:勅使河原蒼風
1900年生まれ。華道草月流の創始者。
1928年、第1回草月流展を開催し、軽快でモダンな花が評判となり、NHKラジオのいけばな講座を担当、この放送や以後の草月展を通じて草月流いけばなが広く知られるようになる。
華道において斬新な手法を多く提供し「花のピカソ」と呼ばれた。
ヨーロッパの旅
旅信
宏へ
映画「十二人の写真家」は出来たかえ。
帰ってから見せて貰うのがたのしみです。
君は外国のきらいな男だが、いちどこっちへ来てみなさい。そしてきらいになるならほんとうにきらうのがいいし、無駄だったとおもうならおもうがいいね。
昨日フレンチカンカンを見に行ったが、お客が見ながら、声を立てたり、手をたたいたり、自分も映画の中へはいりこむんだね。
どんな映画を見てもシイーンとしてすましている日本式とはえらいちがいだが、どっちがほんとうの見方かしら。どっちもほんとうなんだろうね。
今日ホテルのロビーにいて(ここは表からも見えるようになっている)見つかったらしく、新外映の鈴木さんと末松さんがはいってこられて、来ていられるとは知っていましたが、ここでしたかといったぐあいでしばらく話をしたんだが、「北斎」はこっちに来ていますかねと聞かれたから、さあジェラルド・フィリップスが一本持って帰っているようですがと答えて置いたよ。
こっちは、六月だというのに寒くて、霞のやつは大風邪さ。
○
マドリッドヘ今日来ました。
パリから一寸飛行機にのっただけだ。そうだね一時間あまりかな。
ヨーロッパ諸国というが、ヨーロッパー国だね。これじゃあ何彼がおもしろく行くわけですな。
日本はあまり仲間はずれでありすぎるね。
そうかといってこっちからなびくほど大きくも強くもないしね。しかし君達はいまにそうしようというんだろう。賛成だね。
ホセアソトニオっていう大通りが日本橋銀座の通りというところだろう。ここの映画館は日本映画の大看板をかかげている。
羅生門、といったかな、それともちがうほかの門だったか、ともかくわれわれが見てもめずらしい不思議な世界なんだから、こっちの人達がめずらしがるのはあたりまえだ。
このことについては君に大いに意見もあろうし、あってしかるべきだが、結局映画はなんでもおもしろければいいということになるのかな。
ただもっとほかのものもいっしょに見せないと日本が芝居の国になって、気がひけるじゃあないかとは大いにおもうね。
○
ピカソ教祖のいる南仏に来た。
カンヌ、ニース、なるほどおもしろい。そして住みよさそうな美海だ。そして美山だ。
世界の遊び好きが集まっているといった感じ。まあせいぜいたのしい人はたのしむさ、とおもっている。ここへくるのに通ったのは、リオというところ。
なんだか京都みたいに典雅だった。
レジエの大個展(初期から現代まで)非常におもしろく見たよ。やっぱりちゃんとした大芸術家だと、うやまいたくなったね。
○
ベニスヘ来た。
からだは好調だからごしんぱいなくね。
不思議なところだね。水中大都会というのか、ちょうど大水が大都市をおそってそのままになっちゃった、という形だ。
少しずつ床が下がりつつあるというからなおさらおもしろい。
ゴンドラの乗り心地、いいですよ。
やっぱりここであったか、という感じがすべてにするほど、素直に美しくたのしい別天地だ。
ここで金があって、きれいな恋人があって、からだが丈夫だなんていえば、一応いいにきまっている、というところで、それをいろいろの形で映画にすることもまた至って当然の思慮なり。
どうも映画のジャマになるものが一つもないのはシャレテイル。この点わが国より映画は造りいいだろうね。
○
ローマは休日だよ。
ここで三日休日で、いいあんばいだ。
ローマの休日の新聞記者らしきもの、あのお姫様らしきもの、さかんにうろついている。
だからあの映画は日本人が見るほど、イタリア人にはおもしろくなかったろうね。
恋のかなう噴水もあったよ。
夜、馬車で見物に出た。
冬オーバーでね。六月も末なのに。